10月4日　フェートン号事件（1808年）

イギリス海軍のフェートン号は、オランダ国旗を掲げて国籍を偽り、長崎へ入港してきます。オランダ商館員が小舟で出向かうと拉致されてしまいました。

それと同時に船はオランダ国旗を降ろしてイギリス国旗を掲げます。長崎奉行所はこのフェートン号に対し、人質を解放するよう書状で要求したのですが、水と食料を要求する返書があっただけでした。

ここで長崎奉行の松平康英は、フェートン号を焼き討ちする準備を命じます。しかし長崎警衛当番の鍋島藩が平穏な日々に慣れて守備兵を無断で減らしていたのです。兵力はわずか10分の1の100人程度。翌日、フェートン号は人質の1人を釈放し供給がない場合は港内の和船を焼き払うと脅迫してきます。人質を取られ十分な兵力もない状況下で、松平康英はやむなく要求を受け入れることにしましたが要求された水の少量しか提供せず、明日以降に十分な量を提供すると偽って応援兵力が到着するまでの時間稼ぎを図ることとしたのです。しかし、異変に気が付いたフェートン号は、松平康英が応戦の準備をしている最中に、長崎湾外に去ってしまいました。

結果だけみれば、人的・物的な被害はなく平穏に解決したように見えますが、松平康英にとって一大事。国の威厳を損ねたとして、自ら切腹してしまったのです。（奉行就任からわずか7か月後）

現代からすれば、松平康秀の対応は何もそこまでしなくても・・・と思うところですが当時にとってはそれだけ大きな問題だったのですね。

セレンディピティとは偶然をきっかけに幸せになる能力。

フェートン号の様に変化に気が付くと、迅速な対応ができる様になれますね。

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